難治性炎症性腸管障害に関する調査研究

項目		内容
事業名		難治性疾患政策研究事業
研究課題名		難治性炎症性腸管障害に関する調査研究
研究代表者名		久松理一
研究代表者の所属機関名		杏林学園　杏林大学医学部消化器内科学
研究対象疾患名（または疾患領域）		クローン病、潰瘍性大腸炎、クロンカイトカナダ
研究のフェーズ		病態解明研究;エビデンス創出研究;疫学研究;横断的基盤構築研究;レジストリ研究による疾病のnatural history解明
研究概要		本研究班の最重要課題一つは炎症性腸疾患（クローン病、潰瘍性大腸炎）のレジストリ研究の構築である。日本人IBD患者の自然史を明らかにし、課題を抽出する上でレジストリ研究は必須であるが、クローン病、潰瘍性大腸炎ともに若年から発症する慢性疾患で患者数の増加が著しいことからレジストリ研究についてはこれまでの研究班や学会では行われておらず、欧米や新興する韓国・中国に後れを取っていた。しかし、日本は稀に見る治療先進国であり、生物学的製剤等、新たな治療薬の開発が続く中で、現状を打破するために本研究班では臨床的に重要な課題に絞りこみレジストリ構築を目指している。難病プラットフォームを利用する課題としては、新規発症IBD患者、高齢患者、妊娠・出産例レジストリがある。学会などと連携した他のいくつかのレジストリ研究（外科手術患者患者データベース、消化器内視鏡学会と連携したUC関連大腸癌内視鏡治療例患者データベース）と合わせて、これらに集中して研究を推進することで５年後、10年後には日本人炎症性腸疾患患者の自然史を明らかにすることが可能となり、さらに患者高齢化問題や新規薬剤の選択基準など今後重要となるに違いない臨床課題を抽出しいち早く対策を立てることができると考えている。また、病態解明を目指すAMED研究との連携も良好で、我々の構築したレジストリ研究データと組み合わせることで新たな治療ストラテジー提唱や新規治療標的の抽出が可能となろう。　希少疾患であるクロンカイトカナダ症候群についても難病プラットフォームによるレジストリを構築する（本疾患については生体サンプルの収集も行う予定である）。本疾患の報告は日本からがほとんどであり、国内推定患者数の500名のうちすでに88名は把握している。エピゲノム解析を含めて疫学調査のみならず病態解明へもつなげたい。難病プラットフォーム使用についてはすでにAMEDとの使用契約締結も終了し、現在中央一括倫理申請に向けて準備中である。このようにレジストリ研究の強化は本邦のIBDや希少難病の診療の課題を明確にし、今後の新たな治療体系構築へ向けての貴重なデータとなるはずである。
レジストリ情報
対象疾患/指定難病告示番号		クローン病/96 　潰瘍性大腸炎/97　クロンカイトカナダ・症候群/289
目標症例数		クローン病（新規発症、高齢、妊娠など分かれるが総数として）400 潰瘍性大腸炎（新規発症、高齢、妊娠など分かれるが総数として）500 クロンカイトカナダ・症候群 200-300 (推定患者数の50%強）例
登録済み症例数		0 例
研究実施期間		2020年4月～2023年3月
レジストリ名
レジストリの目的		自然歴調査;患者数や患者分布の把握;疫学研究;治験対照群としての活用;試料採取;治療選択と予後の関係を明らかにする。
調査項目		【クローン病・潰瘍性大腸炎】［1階部分］患者背景（年齢、性別）、診断名、発症年齢、既往歴、家族歴、臨床情報（治療歴等）［2階部分］ (新規発症）患者背景（年齢、性別）、診断名、発症年齢、既往歴、家族歴、臨床情報（治療歴等） (高齢IBD）Performance Status、フレイル、認知度、併存疾患、歯の本数、予後 (妊娠・出産）妊娠中の経過、IBD治療薬、分娩形式、新生児の状態【クロンカイト・カナダ】患者背景（年齢、性別）、診断名、発症年齢、既往歴、家族歴、臨床情報（治療歴等）腸内細菌叢（糞便）、ゲノム・エピゲノム解析
第三者機関からの二次利用申請可否		可
レジストリの企業利用について		企業が利用することについては、患者の同意を取得していない
二次利用申請を受けた場合の対応方法		運営委員会で協議後、倫理委員会の承認を得て提供する。
レジストリURL		http://www.ibdjapan.org/
バイオレポジトリ情報
なし
担当者連絡先
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班　事務局佐藤美絵 mei●ks.kyorin-u.ac.jp 杏林大学医学部消化器内科学〒181-8611　東京都三鷹市新川6-20-2 http://www.ibdjapan.org/

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